Authorship
Authorshipとは
- 重要な貢献をした人のみ著者となる
- それ以外はacknowledgementに
ある意味最も大事な部分です。研究が始まるとき(analytic planを書くとき)、JEANであれば研究案を思いついて確定した段階で決めないといけません。重要なのは「論文の業績は誰のものになるか?」という点です。「お世話になった人全員入れたいんだけど…」と思うかもしれませんが、そうはいきません。なぜなら「論文に名前が載る=名前が載った人の業績かつ、その人が論文の内容に責任を持つ」だからです。そのためauthorshipにはルールがあります。国際医学雑誌編集者委員会(ICMJE; http://www.icmje.org)に準拠したauthorship規定として、以下の1-3の全てを満たすものになります。
1. 研究の構想と設計 or データの獲得 or データの解析に重要(substantial)な貢献
2. 論文の執筆 or 重要な知的内容の改訂
3. 最終稿に同意
特に重要なauthorsは1st, 2nd, およびlastの3人です。1st authorは「自分の論文」かつ自分の業績に直結します。若手はまず1st(筆頭)で何本か論文を書くことを目指します。次に2nd authorです。研究は一人で行うものではありません。業績が全て”1st author”だけの場合、「こいつは自分のことばかりで他のやつと協力できないな」と思われます。大学では講師以上の場合、2nd authorとしての業績も重視されます。そしてlast authorです。これは多くの場合、研究のPrincipal Investigator (PI)になります。
JEMNetの場合は下記になります(詳しくはJEMNetホームページ上の、「JEMNet規約」→「Publicationポリシー」も確認してください。)
1st author:論文を書いた人
2nd author:統計を担当した人、もしくはデータの確認等を行った人
3rd以降:その他研究に深く携わった人
Last author:研究のPI
最後にOn behalf of the JEMNet investigatorsとつけます。
※Gift authorshipについて
一部の施設には論文を執筆した際に「施設、あるいは所属している部署の人の名前や直接関係してない施設長の名前を入れる」というものがあります。そのような有形無形のプレッシャーがあるのは理解しますし、若い研究者が弱い立場であることも理解しています。しかし、直接大きな貢献をしていない人の名前を入れるのは「gift authorship」と言われ、研究倫理に違反することです。これはICMJEでも決められています。内容に責任を持たない人を“しがらみ”や”同僚だから”という理由だけで著者に加えてはいけません。同様に仲の良い同僚であっても、内容に大きく貢献していない人の名前は入りません。Authorshipの規定には満たないが研究に協力してくれた人はAcknowledgement(謝辞)にその旨を記載しましょう。
特に日本では所属長がlast authorとして記載されることが多いですが、教授や部長が下の研究のインフラの整備をするのは当たり前の仕事です。したがって、教授や施設長であっても、ただそれだけでは名前は入らず、データ収集、研究デザインや統計の相談、内容の拡充・校正、研究費の取得など論文作成に多大な貢献をして初めて名前が入ります。JEMNetの研究では各施設から2名(筆頭著者とその直属の指導医)+JEMNet memberが基本です。ただしどうしても施設長を入れないと立場がまずいという場合は、PIである長谷川と施設長が直接話し合って決める事もあります。