Academic Englishと英借文のススメ
- Academic Englishと一般的な文章は違う
- 良い表現を他の論文から拝借する
- しかしコピペ(剽窃)をすると研究者としての信用を失います
基本的に論文の英語はどこまでも難しいですが、完全な日本語を英語に直すよりも最初から英語から書き始めた方が、あとが楽です。学会、論文で大事なのは、その内容。英語で上手く伝えるかどうかは二次的な要素なので外見にこだわりすぎないようにしましょう。
英語の習得にはスポーツと一緒で3つのポイントがあります。
1. 上手い人の真似をする 論文の書き方には作法があります。Discussionを真似するのは厳しいですが、abstract、methods、results、limitationsなどの作法は、ほとんどみんな同じです。作法を知れば、あとは数字とか単語を入れ替えるだけでかなりいけるのでオリジナルである必要はありません。
2. 練習、練習、練習 論文を読んでいるだけでは書けるようになりません(丘の上の水練)。せっかく素晴らしい大規模データがあるので、実際に書いてみましょう。やって得することはあっても、損はしません!
3. フィードバックを受ける 自分の書いているものが大丈夫かどうか自信もてなければ誰かに見てもらいます。校正業者も利用しましょう。
論文を読んでいると分かりますが、決して口語調ではありません。即ち、「論文で用いる表現」というのが決まっています。論文を書く際には必ず表現に気を配らないといけません。これは英語がネイティブの医者でも95%はできません。その辺を歩いている日本人に日本語で論文を書かせても、ほとんどの場合アカデミックな論文ができないのと同じです。ちなみにアカデミックライティングに関しては、google翻訳/DeepLなどの一般的な翻訳サイトは多くの場合役に立ちません(原型を作るのには有用ですが)。
とは言ってもいきなりそんな文は書けないので、まずは文献検索で徹底的に検索した論文の中からNEJM/JAMAの論文を探します。さすが世界の一流雑誌だけあって、NEJM/JAMAの英語表現は実に洗練されています。そしてその中から使える英語表現を借りましょう (ただし丸ごと使用して剽窃にならないよう注意)。英文もイチから書こうとすると誰でも難しく、かつ英文が自己流すぎる点は必ず指摘されます。どの論文も似たような表現があり、比較するとき、主張するとき、それぞれに決まった表現があります。
※Googleを使ったフレーズ検索法 英語表現に困った時はGoogleやGoogle scholarなどでフレーズ検索を使います。例えば自分で考えた文章があるなら、その文章を””を使ったフレーズ検索を行ってみましょう。
例)”this study investigates the association of ”
それで数千件以上引っかからなければオリジナル過ぎるか文法が間違っています。これを利用すると、前置詞や部分的な表現が分からない時にも使えます。「”subject to changes * the study”」と検索すると、*の部分に色々な語句が当てはまった文例が検索結果に表示されます。この場合、in が検索結果に多く出るので、inを使うのが一般的と推測されます。冠詞が分からない時もこれで検索可能です。
校正業者に出す
- 校正業者は遠慮なく使えば良い
- 質は業者、人によってバラバラ
- 英語に自信があっても最初は利用した方がベター
< COIはありません!>
よっぽど英語に自信があっても(英検1級、TOEFL iBT:100点以上、IELTS:7.5以上、TOEICほぼ満点クラスであっても)、必ず論文を書いたことのあるnativeか校正業者にチェックをお願いしましょう。
校正業者と聞くと「そんなの使っていいの?」ってはじめは思うかもしれませんが、これは”常識”です。日本人は英語が苦手なのは世界中の人々が知っています。JEMNetだと指導医がいるので頼ってしまいがちですが、忙しい先生方をa, the, -s, 時制などの基本的なところで煩わせてはいけません。指導医は「全体の論理構成、表現」を見るのであって、文法指導をするわけではないことに注意して下さい。非常に簡単な文法の間違いを見つけるだけであればgrammarlyというweb service(有料)があります。月1000円ほどで簡単なgrammar checkを自動で行ってくれます。
校正業者は当たり外れが大きく、同じ業者内でも当たり外れがあります。こればかりは運が大きいかもしれません。色々なところに挑戦してみてはいかがでしょうか。ただし、校正された文章は当然ながら元の英語に左右されるので、そこは筆者ががんばるしかありません。英文校正業者比較サイトなどもありますので、自分にあったところを探しましょう。また、投稿先によっては校正業者を紹介しているところもありますので、instructions for authorをよく読んでみてください。