お作法チェックリスト

  1. 定型的な書き方を外さない

  2. 誰が見ても読みやすく分かりやすい論文を心がける

  3. 査読者/読者に余計な労力を使わせない

(Do not let readers and reviewers work!)

論文を書くなかで、セクション毎に誰かにアドバイスを受けながら書き進めていく事になると思います。毎回、アドバイスを受ける前にはチェックリストでお作法にきちんと沿っているか確認しましょう。お作法はとても大事です。これがなっていないと読んでももらえません!面倒と感じる部分もありますが、最初に形を学ぶのは非常に大切ですので、頑張りましょう。ちなみに書き上げたら一度声に出して読んでみる事をオススメします。声に出すと意外な間違いなどに気付く事があります。また、紙に印刷してチェックするのも効果的です。

とにかくキーポイントは「査読者/読者に余計な労力を使わせない(Do not let readers and reviewers work!)」です。

論文の査読システムは、査読者の質もバラバラですが、共通しているのは誰もがとても忙しく、査読は理想的でない環境で行われることです。査読をするのは勤務後の電車の中または深夜です。頭の働いている時間は自分の仕事をします。査読の優先度は最後の最後です。これが試合のルールです。こんな時に、例えば、どこにアウトカムが書いてあるか分からない論文、研究の目的がどこに書いてあるか分からない論文を査読することになったら、どんな思考回路が働くでしょうか。

おそらく、「スタイルと形式を守らない論文→読むのに手間がかかる→この著者は論文に力を入れていない→研究の中身に力が入っていないはずである→reject」です。内容がいくらよくても、まずちゃんと読んでもらえません。論文の書き方がなっていないけど日本人だから中身はしっかりしているだろう、とは思ってくれません。仮に日本語だとしても、句読点のつけ間違い、「てにおは」の間違い、誤字脱字、意味の分からない略語、飛びすぎる話題があったら、指導者ですら読むのが嫌になりますよね。


お作法チェックリスト〜基本編〜

  1. 字体は本文、図表全てTimes New Roman (supplementary のみArialなどの指定に注意)
  2. フォントサイズは12pt
  3. 余白は「やや狭い」、行間はダブルスペース(普通の行間の2倍)。できればUS letter サイズで上下左右の余白は25.4mm、かつダブルスペースも英文でのダブルスペースを使用する。※方法はWordのver.によって異なるのでネットで検索してみて下さい。日本語のダブルスペースは間隔が広すぎて読みづらいです。
  4. 共著者の名前・所属先などを間違えない
  5. パラグラフの最初は段落下げ(tabキーで)を行う
  6. 文章は基本的に左揃え(left justification)にする
  7. Heading (Introduction, methods, resultsなどの大項目)・ subheading(study design and settingなどの小項目)は投稿先の指定に従った表記にする
  8. 誤字脱字などをWordのチェック機能で必ず確認する
  9. I’mなどのアポストロフィ・省略形は使わない
  10. (ABC (XYZ))のように同じ括弧を繋げない。(ABC [XYZ])のように括弧を使い分ける
  11. Table 1やFigure 1などが本文の出てくる順番と一致させる
  12. Abstract、本文、図表の数字が一致しているか確認する
  13. 図表内の数字の計算があっているかどうか確認する(各セルの合計値が異なったりしないこと)
  14. 略語(Emergency Department ➡ ED)などは最初に登場する際にEmergency Department (ED)のように全表記(スペルアウト)させる
  15. 通常使われない略語はできるだけ避ける
  16. Referenceは手入力ではなくEndnote などの文献管理ソフトを用いる
  17. 英語の大文字・小文字、誤字脱字、句読点、冠詞、時勢を一致させる
  18. 投稿先によってアメリカ英語とイギリス英語を使い分ける(center➡centreなどWordの機能「言語の選択」で簡単に可能)
  19. 字数をカウントする
  20. コロン(:)やセミコロン(;)などの後は全て半角スペースを入れる
  21. 全角スペース、全角文字は使わない(日本語だけ!)
  22. 指導医に見せる時はレビューを楽にするため図表とテキストは別にする
  23. 図(figure)と表(table)もそれぞれ別のファイルにする
  24. Wordの「コメント・変更履歴」機能を使用して、どこが変更点か明確にする
  25. ファイル名は後で分かりやすいよう、かつアドバイザーも整理しやすいように、名前、日付、セクション、バージョンをファイル名につける

​ 例:GOTO_JEAN2_Repeatintubation_20140326_ms


3. お作法チェックリスト〜内容編〜

  1. Title pageは投稿先の指定に沿った内容が記載されている(特にkeywords, running head, summary pointなど特定の雑誌で指定されている内容に注意すること!)。
  2. Introductionは3段落構成でknowledge gapと研究目的が明確に示されていること。
  3. Methodsは必要な情報が明記されているか確認する(観察研究であればSTROBE/RECORD checklistに沿って確認する)。
  4. 言葉の定義を決める。例:「resident」といっても日本と海外では認識が異なる。同様に各種の言葉の定義が引用文献とともに明記されているか確認する。
  5. 混乱の元になるため、同じ意味の語句を複数使用しない。例:「initial」と「first」、「tracheal intubation」と「intubation」、「mortality」と「mortality rate」など、同じ意味でも複数の言葉が出るのはおかしい。Wordの検索機能を活用する。
  6. 同じ主語なのに受動態と能動態を混ぜない。
  7. 1パラグラフにメッセージは1つ
  8. A群とB群を比較する場合は、「Aが○○、Bが××」ならその文の途中で「Bが××、Aが○○」みたいに順番が入れ替わらないよう注意する。同様に「Xを変えると成功率が高い」と「Xを変えないと成功率が低い」を混在させないようにする
  9. 仮説とオッズ比の方向を揃えて一貫性を持たせる。
  10. %信頼区間:95% とCIの間は半角スペース(もしくはスペースなし)、信頼区間の両方の値に%をつける(%の場合)。小数点以下をどこまで表示するかを全体で揃える
  11. 本文、図(figure)、表(table) の数値、単位は必ず一致させる。
  12. Discussionは1)結果のまとめ、2)過去の知見との比較、3)メカニズムの説明、4) Limitation, 5) Conclusion/implicationsと流れが繋がっているかどうか確認する。
  13. リファレンスの付け方を確認する。各journalによって異なるため、投稿先が決まっていない場合は後で修正する旨をコメントしておく。
  14. Figureがある場合はreferencesの後にFigure legendsを忘れない!!

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